なぜ今、ファイナンシャル・リテラシーなのか?
突然ですが、問題です!
銀行の普通預金口座の残高が10万円あるとします。1年で2%の利息がつきます。この口座を5年間そのままにしておくと、残高はどうなりますか?
[A] 10万2000円よりも多くなる
[B] 10万2000円ちょうど
[C] 10万2000円よりも少なくなる
この問題、実はファイナンシャル・リテラシーを測定する問題例です#1。こんな問題が何問も出題される調査が、全国の18~79歳、計2万5千人に行われました (金融広報中央委員会, 2019#2)。
さて、日本人はこうしたファイナンシャル・リテラシーに関する問題の何%くらいに正答できたと思いますか?
日本人のファイナンシャル・リテラシーは低い
出題された領域にもよりますが、正答率は全体で、56%でした。なんと6割を切ってしまうのです。特に、30代になるまでは42.7%と、半分を下回る正答率の低さです。
海外でも同じような調査が行われいますが、結果の公表されているアメリカ、フランス、ドイツのどこと比較しても、日本は最下位・・・。
しかも最下位なのは、ファイナンシャル・リテラシーの知識的な問題だけでなく、適切な行動や、考え方についても最下位だったのです。
今後ますます求められるファイナンシャル・リテラシー
2019年、金融庁の金融審議会の市場ワーキング・グループに端を発した「老後2,000万円問題」は、皆さんまだ記憶に新しいですよね。老後の20~30年間で、およそ1,300万円~2,000万円が不足するという試算です。
この老後2,000万円問題については、いろいろと問題点も指摘されているところですが、大事なのはその真偽ではなく、「自分のお金を自分で築き、守っていく」意識や行動等が十分でないために、こうした話に振り回されてしまうという事実です。まさに、ファイナンシャル・リテラシーの問題ですね。
老後だけでなく、生きていくためには、少なからぬお金が必要になります。そのお金について、自分で考え、自分で行動することが何より大切です。そしてその基本となるのが、ファイナンシャル・リテラシーなのです。
問題の答えは
ちなみに、冒頭の問題の答えは[A]です。正解できましたか?キーワードは複利。[B]と答えてしまわないように。一緒に少しずつ、ファイナンシャル・リテラシーを高めていきましょう。
参考
#1 Lusardi, A., & Mitchell, O. (2006). Financial literacy and planning implications for retirement wellbeing (Pension Research Council Working Paper No.1). Philadelphia, PA: Wharton School, University of Pennsylvania.
#2 金融広報中央委員会 (2019). 「金融リテラシー調査 2019年」の結果 https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2019/pdf/19literacy.pdf